ドローンによる農薬散布を見てきました。
ドローンのDJI JAPANと農薬メーカーのシンジェンタジャパンの共同主催による農薬散布実証試験フィールドツアーが、先般(6月25日)農業関係者やマスコミなどを呼んで茨城県龍ヶ崎市にある横田農場の圃場で開催されました。私もこのツアーに参加しましたのでその様子を簡単にご紹介します。なお、私の参加目的はDJIの農業用ドローン「AGRAS MG-1P RTK」が実際にどのように使われているかを知ることでしたので、散布した農薬および散布方法、効果などについては割愛させていただきます。
今回のツアーでは自動航行による農薬散布が披露されました。まず始めに測量用ドローン「Phantom4 RTK」で散布する圃場の測量を開始。GPSを頼れば測量しなくてよいように思われますが、誤差が生じやすく隣の圃場や道路などに散布してしまうことが多々あるとのことです。また、そのためによる農薬の無駄も生じてしまうと言います。Phantom4 RTKで測量した高精度のデータは直ちにプロポ経由でパソコンに送られ、そこで実際に散布する範囲を確定し地図データが作成されました。
地図データがAGRAS MG-1P RTKに送られると早速散布が開始されました。自動的に離陸した後、同じく自動的にあらかじめ決められたコースを正確にトレースしながらゆっくりと散布していきます。飛行高度は3mぐらいでしょうか。0.7haほどの田圃を7、8分ほどかけて散布しました。私の実家もかつて稲作をやっていたので何となく知っているのですが、田圃の農薬散布は機械を背に担ぎ下半身泥まみれになって作業するため体力も手間も時間も必要とするものです。それが田圃のなかに入ることを必要とせず、しかも精度の高い自動飛行により短時間で完了したことはすごいと思いました。
圃場を変え、2台のAGRAS MG-1P RTKでの散布も行われました。こちらもPhantom4 RTKで測量した地図データを元にした自動飛行です。2台の大型ドローンが悠然と並んで飛行する様子はちょっと驚きでした。0.8haほどの田圃でしたが、5分ほどで散布が完了しました。ちなみに使用したプロポは1台で、最大5台のAGRAS MG-1P RTKの操作が可能とのことです。
農業の現場でドローンを使う理由はいくつかありますが、そのひとつが省力化です。現在、日本の農業は従事者の急速な高齢化により労働力不足が深刻な状況になっており、ドローンを使うことで農作業の負担を軽減し、生産性の向上が図れると言います。また、新規就農者が増えることなども期待されています。プレゼンテーション時に登壇した関係者が「農薬散布が辛いものから、ドローンを使うことで楽しいものになった」との発言があったのですが、実際の農薬散布の様子などから大いに納得できるものでした。